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走れ山ゆり号PARTV (PARTT PARTU) 「長尾台コミュニティバス運行実験」へ
川崎初のコミュニティバス・山ゆり号、運行開始
 市民団体、運営会社、行政、協働で実現 ―
ブログにてご意見、ご感想をお待ちしています。
Commented by 小巴迷 at 2011-10-12 15:52 x
「山ゆり号」本格運行開始おめでとうございます。
高橋商事…良い業者と巡り合えたと思います。3ナンバー…乗合タクシーという位置づけですね。
実際に経路を通ってみましたが、バス停ポールが堅実的なもので好感が持てます。
沿線住民に浸透し、増車・増便につながればいいですね。
「みらい号」や横浜の「こすずめ号」・「菊名おでかけバス」ともども応援しています。
■ 地域に役立ちたい ― 父親の思いを引継ぐ

 2011年9月1日、コミュニティバス「山ゆり号」の本格運行を祝う出発式が、川崎市多摩区の生田病院駐車場にて行われた=上写真。

 この運行を引受けたのは、地元の交通事業者の轄kエ商事。「我が社が地元地域に関われる事は、ありがたく嬉しい。安全な運行をし、皆様に可愛がられるようなりたい」と高橋弘和社長(28)は挨拶の中で語った。今年7月、父親の前社長が病死。「前社長の考えでもある、地域に役立つ仕事がしたいとの思いから、山ゆり号の運行に手を挙げさせていただきました」(山ゆり号ニュース第2号より」

■ 13年目にしてついに実現、山ゆり号」出発式
 1998年、多摩区水暮町会が「町会としての最大の念願は、コミュニティーバス運行の実現であり、高齢者移動手段の確保・環境負荷軽減などを目的」に活動を開始。2004年に地域住民で「麻生区コミュニティバス協議会(代表 碓井勝次さん)」を組織、長年、行政とともに本格運行を目指してきた。

 川崎市は今回初めてコミュニティバスの本格運行を実現。2004年以来これまで4度の運行実験・試行運行を重ねた。昨年20010年6月から9月末まで3ヶ月間、試行運転を行って検証した結果、「多くの利用者やサポーター登録者等の御協力もあり収支採算性が見込まれたことから、本格運行の実施を決定」(市交通対策室)、ようやく継続的な運行に至った。

 「麻生区コミュニティバス協議会」は本格運行に向けて会の中に新しく「山ゆり交通事業運営委員会」を設け、3月25日、地元の交通事業者である轄kエ商事、川崎市と「山ゆり号」の運営に関して協定を結んだ。

■ 手作りの案内版

 「山ゆり号」は平日往復合計24本、土日祭日運休で、基本的に一人のドライバーで運行される。(バックアップ車両とドライバーは用意されている) それだけ地元住民とドライバーのつながりが強い。バス会社から転職したドライバーの小石章雄さんは、協議会に参加し、積極的に運営に関わってきた。また、案内看板は高橋商事が手作りで作成したも。
 前回の試行運転は高橋商事とは別会社で行われたが、その時の「運賃を支払う時、天井に頭をぶつけてしまう」との声に、同商事は天井の高いハイルーフ車で運行することを提言し実現させた。
 それ以外に、行き先の車外電光表示、停留所の音声案内、液晶ディスプレイなど、試行運行ではなかった装置を新しく導入している。
 ドライバーの休憩所として、医療法人 新光会 生田病院が場所と駐車場を提供している。これもこの地域ならでの連携の現れだ。

■ 「サポーター登録制度」の協力が継続のカギ

 市の方針は運行の独立採算性だ。収支採算性の見込みとなったのは、年間6,000円のサポート登録制度にある。昨年の試行運転では200名以上の登録者があった。しかし、これは無料の登録者だった。本格運行では有料になった時に、登録者が同じように増えるかは分らない。
 基本運賃は大人300年、小児100円、6歳未満1名無料。70歳以上の高齢者と障がい者は200円。
 サポート会員は50円引き。月額500円なので、月5回以上乗ると、元を取り戻す計算だ。
 7月23日(土)、山ゆり号の出発停留所である高石団地の集会場において、協議会は運行計画とサポーター登録制度の説明会を主催している。『参加された方からは「今後の本格運行に期待したい」「地域のみんなで利用し続け、サポータになって、バスがなくならないように盛り上げていきたい」などの意見をいただき、大変盛り上がった会となりました』と2011年8月号の「山ゆり号ニュース第2号」は伝えている。

■ 市民にとって良い公共サービスを得る、協働の意義 

 例えば、2010年12月に開通した青森県鰺ヶ沢したバスは、全国でも珍しい「住民参加型方式」で運営されている。小さな山あいの3部落とバス会社が協議会をつくり、運行方式を決定した。3集落の全60世帯がそろって、毎月2千円分の回数券を購入する。乗客数にかかわらず、弘南バスに一定の収入が入る仕組みだ。 「もちろん、ほとんどバスに乗らない人もいる。でも、この路線は地区の命綱。回数券の購入に反対する家はない」という。
 (「東奥日報社」記事 参照)

 この自家用車保有者が多く、地域社会に関心のない人々が多い傾向にある高石地区ではこのような事は実現は困難かもしれない。

 このコミュニティバス運営事業は、市の「自恃基本条例」の「協働の定義」と重なる。「協働については様々な解釈がありますが、ルールでは市民活動団体、企業、行政といった特性の異なる二者以上の主体同士が、共通の目的に向かって協力するという解釈を基にしています」。協働の手段として「協働を進めることの意味を考える場合、市民にとってより良い公共サービスの提供となるかを特に意識すべきでしょう」。
公益財団法人かわさき市民活動センター発行「川崎市協働型事業ガイドブック 〜協働ってなあに!?〜」より)

 この山ゆり号を成功に持って行き、川崎市でコミュニティバスをどう発展させて行くか。そのカギは地域の団結力にかかっている。

                                              文責・写真:高橋喜宣 
初運行に出発する「山ゆり号」 
☆ コミュニティバスはエコか?カギは住民が乗ること

 「コミュニティバスはエコとは関係ない」と断言する人がいる。家庭からのCO2排出量の3割は自家用車という事実からすれば、クルマの利用削減に繋げれば大いにエコだ。買物難民や福祉にも役立つ。しかし、地域住民が一丸となってバスを育てようと思わないと、乗る人が少なくエコどころか税金の無駄使いにもなりかねない。(高橋)
☆参考サイト
*麻生区高石地区におけるコミュニティバス「山ゆり号」の本格運行の実施について(川崎市まちづくり局交通対策室)
*平成22年度川崎市地域公共交通会議・・・高石地区などコミュニティ交通導入に向けた各地区の取組の資料がPDFファイルでまとめられている。((川崎市まちづくり局交通対策室)
*山ゆり号の運行始まる 地域住民らが生田病院で出発式 (タウンニュース 2011年9月 9日号)
*麻生・高石地区のコミュニティーバス本格運行へ、黒字確保へサポーター制度/川崎 (神奈川新聞 2011年8月24日)
*麻生・高石地区コミバス 念願の本格運行 「山ゆり号」来月から (東京新聞 2011年8月25日)
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